agile development

ソフトウェアの開発手法である「アジャイル」という言葉が、リアルの商業施設や店舗の開発手法として注目され始めています。現代の消費者ニーズの激しい変化に加えて、アフターコロナやウィズコロナが取り沙汰され、商業を取り巻く環境は日々刻々と変化していきます。

本記事ではそのような状況に変化するために、いかに商業施設や店舗の開発にアジャイルな手法を取り込んでいけばよいかを解説します。

アジャイルとはなにか?

アジャイルとは"迅速さ"や"俊敏さ"を意味する言葉で、ソフトウェアの開発手法としてここ10年程度で急速に普及した手法です。

「要件定義→設計→開発→テスト(→運用)」のサイクルを高速に回転させながら、製品価値を最大化する手法と定義されており、「頻繁に市場のフィードバックを反映させながら少しづつ開発を進めてゆく手法」といえます。

なお、アジャイルの登場前に主流であった開発手法は「ウォーターフォール」と呼ばれ、これは滝のように上流の工程が完了したら次の工程に進めていく手法です。タスクや工程が事前に明確になるため、先の見通しが立てやすいというメリットはありますが、以下のようなリスクがあります。

  • リリースされる段階まで利用者のニーズに答えられるかの検証ができない
  • リリースされた段階で製品が陳腐化してしまっている

結果的に想定していない手戻りが数多く発生することで計画が破綻し、デスマーチと呼ばれる過酷な労働状況が社会問題化しました。

アジャイルとウォーターフォール

顧客も本当にほしいものはわからない

アジャイルな開発手法がリアル店舗や商業施設の開発においても注目されるようになったのは、顧客のニーズの変化が早いというばかりではなく、そもそも「顧客すら自分の本当のニーズは理解していない」という不確実性を前提に、製品・サービス価値を向上させていかなければならないという今日的な課題が含まれています。

たとえば、コロナ禍で一般的になったビデオ会議やリモートワークですが、実際に体験するまでニーズを自覚していた人は少なかったでしょう。もともと実践しようと思えばできる環境は整っていましたが、経験していないのでニーズが顕在化しないという状況が続いていました。

しかし、通勤や打合せのための移動時間を節約でき、顧客との信頼関係の維持にもあまり影響がないという体験を実際に経験することで、一気にハビットチェンジ(これまでの慣習がかわること)が進みました。私たち自身、小さな経験を通じてほしいものや望むものと出逢うことができるという典型的な事例といえます。

アジャイルな開発を実施するための2つのポイント

アジャイルな開発を実現するためには、なにが必要なのでしょうか?

先にも書いた通りアジャイルとは「頻繁に市場のフィードバックを反映させながら少しづつ開発を進めてゆく手法」ですので、ソフトウェアの開発と同様に、

  • 市場のフィードバックを継続的に得られるようにすること
  • 部門横断的なプロジェクトチームで進行すること

という2つのポイントが重要となります。

今でこそ世界最大のSNSであるfacebookですが、マーク・ザッカーバーグを中心とした数人のチームで、主要な8つの機能からスタートしたというのは有名な話です。そこから市場のフィードバックを高速に取り入れることで、急速に成長させました。

市場のフィードバックを受ける仕組みはすでにある

幸いなことに、ポイントカードなどの会員組織をお持ちの商業施設やチェーンストアであれば、市場のフィードバックを受ける仕組みはすでにお持ちということになります。

しかし、それを市場のフィードバックとして活用できている企業は少ないと感じます。ジオマーケティングでもポイントカードの分析をご依頼いただくことは多くありますが、継続的にPDCAをまわし続けていくところまで実現できている企業は多くありません

データ活用が進まない理由として、データをリアルタイムに近い形で加工・分析するための少なからずのシステム投資が必要となるのも原因のひとつです。しかし、それよりも次に述べる通り組織体制に大きな原因があると考えています。

機械学習がプロジェクトチームの組成を助ける

商業施設や店舗の開発は「開発部門→企画部門→リーシング・商品部門→運営部門→販促・マーケティング部門」のように業務を引き継いでいくのが一般的です。そして、先ほどのポイントカードデータが活用されるのは、たいていの場合は販促・マーケティング部門に限られます

アジャイルな開発には部門横断的なチーム組成が必要不可欠ですが、これを最も阻んでいるものは部門ごとに利用するデータや意思決定の指標が異なるという点があります。これを解消するパワーを持っているのが、機械学習です

たとえば、ジオマーケティングが過去に手掛けたコインランドリーのプロジェクト(株式会社ジーアイビー様)では、「開発立地の選定」と「店内設備の企画」を同時に行えるモデルを作成しています。共通のデータをもとに、複数の用途に利用できるモデルを作成するのは機械学習を使えば比較的簡単に行うことができます。

株式会社ジーアイビー様事例紹介

まとめ

消費者ニーズの変化や不確実性から、商業施設や店舗開発においてもアジャイルな開発手法の重要性に着目されるようになりました。これを実現するためには、共通の指標をもとに部門横断的なプロジェクトとして活動していく必要があります

そのためには、ポイントカードなどのデータから随時フィードバックを取得する仕組みを構築し、機械学習を通じて共通の指標として活用できるようにすることが重要です。

ジオマーケティングではアジャイルな開発を実現するための様々なデータやフレームワークをご提供することが可能です。ご相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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